ステロイド薬の副作用

2017/08/25

治療

関節リウマチの炎症を抑えるために「副腎皮質ステロイド薬」(ステロイド薬)を使うことがあります。ステロイドというと、副作用が強いイメージを持つ人が多く、漠然と「こわい薬」「できれば使いたくない」と考える方も多いようです。実際はどうなのか、ステロイドの副作用について、正しく理解していきましょう。

軽い副作用は、あまり心配しない

下記のような軽い副作用は、ステロイド薬を減らしたり、使用を中止すれば自然に改善しますので、あまり心配はいりません。

 

ステロイドの副作用(軽いもの)

 

●ムーンフェイス(満月様顔貌)

 

●中心性肥満
顔、首のまわり、肩、胴体など体の中心部分の脂肪が多くなる一方で、手足など四肢の脂肪は少なくなる。

 

●皮膚症状
口の周辺などのうぶ毛が濃くなる、吹き出物ができる、紫色の斑点が出る(紫斑)など

 

●食欲不振、だるさ/食欲増進、体重の増加

 

●むくみ

 

●高血圧

 

●多汗

 

●月経不順

 

●不眠 など

重い副作用には十分注意

ステロイド薬は、使用量が多かったり、服用期間が長くなるほど重い副作用がでます。

 

ステロイドの副作用(重いもの)

 

●感染症
免疫力が低下し、細菌やウイルスに感染しやすくなります。
肺炎、腎盂炎、結核なども起こりやすく、注意が必要です。

 

●骨粗しょう症
ステロイド薬を長期服用していると、骨からたんぱく質やカルシウムが流出して骨がもろくなります。関節リウマチでは、骨粗しょう症の合併はつきものですが、ステロイド薬の使用でさらに骨が弱くなってしまうのです。
骨粗しょう症は「ビスホスホネート製剤」(骨粗しょう症の治療薬)でコントロールします。

 

●ステロイド薬の減量、中止によるショック症状
体内では「副腎皮質」でステロイドホルモンがつくられますが、ステロイド薬による外からの補給が長期つづくと、副腎皮質がステロイドホルモンをつくらなくなります。このような状態で急にステロイド薬の量を減らしたり、止めたりすると、ショック症状が起こることがあります。薬の減量・中止は必ず医師と相談しましょう。

低用量の使用なら問題は少ない

次のような方法であれば、重い副作用は少ないとされています。

副作用を少なくする使い方

ポイント1

プレドニゾロン(ステロイド薬の1種です)に換算し、1日5 mg程度の投与にとどめます。正常な人でも毎日10~15 mg前後を副腎皮質から分泌しているので、この程度であれば問題は少ないと考えられます。もちろん1 mgでも少ない量にする努力は必要で、やめられればベストです。

 

ポイント2

いったんステロイド薬を使うと、薬を止めることが困難になる場合が多いので、有効な抗リウマチ薬をみつけて併用し、ステロイドの減量を行っていきます。

 

ポイント3

使用するステロイド薬は、比較的マイルドなプレドニゾロンやプレドニンにします。

 

ステロイド薬に限らず、どんな薬でも副作用がつきもの。ただ副作用をこわがるのではなく、薬の性質を理解した上で使うことが大切です。

 

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この記事の監修

湯川リウマチ内科クリニック 院長
日本リウマチ学会専門医・評議員
湯川宗之助

湯川リウマチ内科クリニック