関節リウマチが進行して起きる、関節の変形

2017/12/21

症状

関節の痛みや腫れが長期間つづくと、関節が変形したり破壊され動かせなくなっていきます。今回は関節リウマチが進行して起こる変形について説明します。

変形は徐々に進行していく

関節の炎症は滑膜で始まります。そして徐々に骨が溶けて関節の破壊が進行していきます。これとは別に、膝などでは関節液が大量に溜まる関節水腫が発症することもあります。また関節近くの腱でも腱鞘炎が起き、手指などでは伸ばすと跳ね上がる「ばね指」なども生じます。

 

関節破壊の進行とともに、関節を曲げ伸ばしできる範囲が狭くなります。これは関節水腫でも起こります。動かせる範囲が狭くなると筋肉も弱くなり、関節の収縮力が低下して関節変形が起きるようになります。

 

さらに進行すると、関節面が合わなくなり、脱臼や強直が生じます。

関節面のズレが生じて関節が変形する

関節破壊が進行すると、最初は関節面が少しだけズレはじめます。そして次第に筋肉の萎縮、腱の断裂などにより下記のような関節の変形が起きます。

 

リウマチの変形

名称 特徴的な症状
尺側変形 ●親指以外の4本の指がずれて、小指側を向く。
スワンネック変形

●指の第3関節が内側へ曲がり、第2関節が外へ反り、第1関節が内側に曲がる。

●物が握りにくい

ボタンホール変形

●指の第2関節が内側に曲がって固定し、第1関節が外側に反る。

●腱が縦に避けた間から、第2関節がボタンのように出てくる。

オペラグラス変形(ムチランス変形) ●手の指全体が短くなり、引っ張るとオペラグラスのように伸縮する。
外反母趾

●足の親指が小指方向へ曲がる。

●外の指に重なることもある。

槌趾(ついし) ●指先が曲がったまま固定する。(手指、足の指に起きる)

手足の指以外の関節も変形が起きることがある

膝の関節

膝の関節は日本人の関節リウマチ患者さんでは症状が出やすい部位です。膝は関節水腫や痛み、筋肉萎縮、靱帯断裂が生じ、進行すると歩行が困難になります。

 

股関節

股関節の破壊は、関節リウマチの初期では少ないのですが、発症後、数年経つと増えていきます。いったん関節破壊が始まるとその進行は早く、歩くのが困難になってしまいます。悪化すると寝たきりの原因になります。

 

肩・肘

肩、肘の関節破壊が進行すると上半身の運動が妨げされ、家事をはじめ化粧・入浴・洗髪などもままならなくなります。

 

頸椎

頸椎は7個の骨(椎骨:ついこつ)からなります。このうち、最も動かすことが多いのが第1頸椎と第2頸椎で関節リウマチの症状が出やすい部位でううす。頸椎に亜脱臼(頸椎間の一部がズレる)や神経障害が起きると生命にかかわることがあります。

 

胸椎・腰椎

胸椎や腰椎では、関節リウマチによる障害はまれです。ですが、関節リウマチによる症状がでない関節(=滑膜のない骨)は頭蓋骨や恥骨結合などごく少数であり、胸椎や腰椎にも症状がでる可能性はあると知っておきましょう。

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この記事の監修

湯川リウマチ内科クリニック 院長
日本リウマチ学会専門医・評議員
湯川宗之助

湯川リウマチ内科クリニック