生物学的製剤「エンブレル」の特徴

2017/10/31

治療

生物学的製剤は7種類(2017年10月時)ありますので、それぞれの特徴がなかなか分かりにくいかと思います。今回はエンブレルについて詳しく紹介していきます。エンブレル(一般名:エタネルセプト)は、2005年から日本で使用が開始された生物学的製剤です。

(2017年10月時点)

エンブレルの特徴を簡単に

ヒト由来のたんぱく質で作られている
TNF阻害薬
皮下注射
在宅自己注射ができる
週1~2回の投与
メトトレキサート(MTX)と併用しても、しなくても使用できる
妊娠中、妊娠を希望している方にも使用できる

 

エンブレルは、TNF阻害薬の1つでヒト由来のたんぱく質で作られた製剤なので、体内での反応(効果や副作用)が比較的おだやかだといわれています。そのため、使い続けられる方も多く、高齢の人にも向いています。メトトレキサート(MTX)と併用してもしなくても使用できるので、レミケード(MTXの併用必須)よりも、治療対象者が広い薬です。

効果はレミケードと同等と考えられており、MTXと併用すると長期間(約10年間)の有効性と安全性があると認められている薬でもあります。

エンブレルの作用のしくみ

エンブレルはTNF阻害薬の一つです。炎症の元となるTNFには、αとβの2種類があり、エンブレルは両方の働きを抑えます。

 

エンブレルの使い方

在宅自己注射が可能

エンブレルは皮下注射のため、在宅自己注射することもできます。薬剤が血液中にとどまる期間が短い製剤のため、使用回数が週12回と多くなりますが、この特徴は副作用をコントロールしやすいという長所にもつながります。薬剤量や回数は効果や状態に応じて調節することができます。

 

メトトレキサート併用で効果が高まる

MTXの服用は必須ではありませんが、併用すると効果が高まります。

 

妊娠を希望する方にも使用できる

MTXが使えない妊娠中の方にもエンブレルは使用でき、妊娠を希望している人にも適しています。ただし、妊娠中・妊娠希望の方は基本的には薬剤を中止する方法を第一に検討しましょう。

 

生物学的製剤は薬の種類によって使い方、投与方法が異なります。

ご自身のライフスタイルに合わせて、継続しやすい方法・薬剤を医師と相談しましょう。

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この記事の監修

湯川リウマチ内科クリニック 院長
日本リウマチ学会専門医・評議員
湯川宗之助

湯川リウマチ内科クリニック