妊娠・出産したい方に知ってほしいこと

2017/10/13

妊娠・出産

関節リウマチは3040代の女性に多く、20代で発症する人もいます。2040代は、結婚、妊娠・出産、育児など女性の人生の中ではもっとも変化のある時期です。今回は関節リウマチ患者さんの妊娠・出産についてのお話です。

妊娠・出産をあきらめないで

関節リウマチになっても、妊娠・出産をあきらめる必要はありません。妊娠・出産を希望する方に適した治療法があります。妊娠する前から医師とよく相談していきましょう。

まずはご夫婦2人で医師から説明を受けよう

関節リウマチの方でも、健康な赤ちゃんに恵まれる方はたくさんいます。ただし、前もって計画的に治療を進めていく必要がありますので、妊娠・出産を希望する場合は、できるだけ早めに医師に相談しましょう。

病気が進行してしまっては、無事妊娠・出産したとしても、痛みが強く、変形し始めた手や肘では赤ちゃんを抱っこしてあげるのがつらくなってしまいます。

 

●現在のリウマチの状況

●治療の必要性の有無

●挙児希望の時期

についてご夫婦お二人で医師から説明を受け、よく話し合うことが大切です。

関節リウマチは遺伝病ではありません

病気がお子さんに遺伝してしまうのではないか、と多くの方が心配されますが、関節リウマチは遺伝病ではありません。

関節リウマチは、高血圧や膠原病、アレルギー疾患などと同じで、遺伝的要素や体質的要素に環境的な因子が加わってはじめて発病する病気です。ご自分の病気を責めすぎる必要はありません。

妊娠・出産することで現れる関節リウマチの変化

一般的に関節リウマチの患者さんが妊娠すると、状態はよくなるといわれています。リウマチ患者さんを対象としたある調査では、妊娠3ヵ月で50%、妊娠後期では60%の人の病気が改善し、20%の人は悪化したという報告があります。

 

症状の改善は妊娠中つづきますが、出産後は半年以内に90%の人が再発し、元の状態になります。人によっては悪化することもあります。これは妊娠中に増えていた免疫抑制物質が少なくなることや、授乳中に分泌されるプロラクチンというホルモンの影響が考えられます。授乳を早めにやめる、といった対応も1つです。

薬の使い方には注意が必要

基本的には、関節リウマチは妊娠中に半数以上で改善するため、妊娠時にすべての薬を中止することが大切です。

 

非ステロイド性抗炎症薬の催奇性(奇形の誘発)

催奇性について現在では否定的ですが、胎児の心臓動脈を収縮させたり、閉塞させる危険があります。また分娩を遅らせたり、分娩時に子宮の収縮を弱める作用もあるため使用は中止します。

 

抗リウマチ薬も基本的には中止する

金製剤、D-ペニシラミン、メトトレキサートには催奇性があります。さらにメトトレキサートは薬剤が肝臓に数ヵ月とどまるため、妊娠3ヵ月前には中止することが望ましいとされています。

 

いずれにしても、薬を服用している方が気付かないうちに妊娠し、そのまま薬を飲み続けてしまう・・・といったことが起こらないように、結婚当初から医師と相談し、病気の活動性を十分にコントロールすることが大切です。

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この記事の監修

湯川リウマチ内科クリニック 院長
日本リウマチ学会専門医・評議員
湯川宗之助

湯川リウマチ内科クリニック