関節リウマチで行う検査の意味

2017/12/18

検査

関節リウマチの診断・治療を行うためにはさまざまな検査が必要になります。今回はその検査の意味「どうして検査を行うのか」をご紹介したいと思います。

鑑別診断を行う

病気の治療を開始する前に、まず診断して病名を確定することが先決です。「関節リウマチ」と病名が確定してはじめて、関節リウマチの一般的な治療が可能になります。もちろん、関節リウマチと確定されないと治療用に指定されている薬は使用できません。

 

関節の痛みや炎症を起こす病気や症状の一部が関節リウマチに似た病気は、実は数多くあります。関節リウマチの診断にあたっては、これらの似た病気との鑑別を付けることがポイントになります。関節リウマチ以外の病気であれば、治療法も変わってきます。

疾患活動性の評価と治療方針の決定を行う

関節リウマチは、関節の腫れや関節炎からはじまり、軟骨⇒骨⇒靱帯⇒筋肉の破壊、関節破壊へと進行し、同時にさまざまな全身症状をともないます。

このような病気の進行度や病状、患者さんの機能障害(生活し難さ)の程度などを総合して「疾患活動性」といいます。

 

疾患活動性は関節リウマチのタイプや発症時期など、患者さんによってかなり異なるものです。そのため、医師の所見に加えて必要に応じた検査を実施して疾患活動性の評価を行います。疾患活動性の評価によって治療方法や使用する薬を決定していきます。

臓器障害の評価を行う

関節リウマチの症状は関節破壊から全身におよびます。このうち、心臓や肺などの主要な臓器の障害は、重大な結果を招く可能性があるため注意が必要です。臓器障害の有無や程度を確認するために、必要な検査を実施してきます。

薬の副作用の評価を行う

関節リウマチの治療にはさまざまなお薬を用いますが、時に副作用が現れることがあります。副作用を出さないように治療することが最も大切で、副作用を避けるために、薬の使用直後や時間をおいて患者さんを診察し、必要な時は検査で副作用が起きていないかを確認します。

 

例えばある抗リウマチ薬で肝障害の副作用が出た時は、葉酸を一緒に投与するなどの方法で改善します。その後は、経過をみながら治療法の変更も検討することになります。

 

治療の効果判定を行う

薬の効果は、その種類・用量・用法・時間の経過、そして患者さんの体質などによって差が出ます。したがって定期的に効果を確認し、効果が上がらないときは薬の種類・用量・用法をかえて病状の改善を図る必要があります。

病状の変化を逃さないためにも検査は欠かせません。

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この記事の監修

湯川リウマチ内科クリニック 院長
日本リウマチ学会専門医・評議員
湯川宗之助

湯川リウマチ内科クリニック