病状が客観的にわかる!疾患活動性評価指標

2017/09/26

治療

関節リウマチを「前より良くなった気がする」「なんとなく調子が悪い」・・・のように個人の感覚で評価してしまうと、治療の効果や病状が客観的にみれなくなってしまいます。これからご紹介する“疾患活動性評価指標”を知ることで「治療の効果が現れたのか」「寛解を維持できているのか」などを客観的な数値で判断することができます。

今回は、疾患活動性評価指標として使われているDAS28、SDAI、CDAIについてご紹介します。

関節リウマチの活動性が分かる

関節リウマチではよく“活動性”という言葉がでてきます。

活動性が高い状態とは、病気の進行に勢いがあり、症状が出やすく、関節への影響も大きい状態のことです。逆に、活動性が低い状態は、寛解に近い状態を指します。

疾患活動性の指標

下図の通り、例えば「DAS282.6未満」であると寛解だと考えることができます。

関節リウマチの疾患活動性の指標

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DAS28、SDAI、CDAIの算出に必要な項目

DAS28、SDAICDAIを算出するためには、下記の項目を調べていきます。

28個の関節のチェック

下図の28個の関節のチェックが必要になります。
「痛みのある関節の数(圧痛関節数)」、「腫れのある関節の数(踵脹関節数)」がチェックポイントです。

 

28個の関節のチェック

VAS(バス)値

長さ10cmの水平な線上で、0 [左端]を体調が大変よい(症状がない)、100 [右端]を体調が非常に悪い(過去最大の症状)とした場合、現在の症状がどのあたりかを評価します。

 

VASのイメージ

下図の場合、VAS値は33となります。

VASのイメージ

血液検査 ※DAS28、SDAI

DAS28、SDAIの算出には、「CRP(C反応性タンパク質)」または「ESR(赤血球沈降速度)」が必要になります。

 

それでは、DAS28、SDAI、CDAIの具体的な算出方法についてみていきましょう。

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DAS28(ダス28)

DAS28(Disease Activity Score)は、圧痛関節数、腫脹関節数、患者VAS、急性期反応物質(血液検査でわかるCRPまたはESR)によってリウマチの活動性を表します。

 

DAS28の計算式は少し複雑です。そのため、担当医に確認してみるとよいでしょう。

 

CRPを使った計算式

DAS28=0.56×√(圧痛関節数)+0.28×√(踵脹関節数)+0.36×Ln( (CRP)×10+1)+0.014×患者の全般評価(VAS)+0.96
※Ln:自然対数、CRP (mg/dl)、VAS:10㎝VAS
※関節対象の関節:上記28関節

 

ESRを使った計算式

DAS28=0.56×√(圧痛関節数)+0.28×√(踵脹関節数)+0.7×Ln (ESR)+0.014×(VAS)
※Ln:自然対数、ESR (mm/hr)、VAS:10㎝VAS
※関節対象の関節:上記28関節

 

活動性の評価

疾患活動性

DAS28(CRP)

DAS28(ESR)

寛解

DAS<2.3

DAS<2.6

2.3≦DAS<2.7

2.6≦DAS<3.2

中等度

2.7≦DAS≦4.1

3.2≦DAS≦5.1

4.1<DAS

5.1<DAS

DAS28自動計算

ホームページ上で自動算出できるシステムをご紹介します。

DAS28-CRP値の計算(大阪大学 大学院 医学系研究科 免疫内科)

DAS28-ESR値の計算(大阪大学 大学院 医学系研究科 免疫内科)

SDAI(エスダイ)

SDAI(Simplified Disease Activity Index)は、圧痛関節数、腫脹関節数、患者VAS、医師VAS、急性期反応物質(血液検査でわかるCRP)によってリウマチの活動性を表します。

 

SDAI=圧痛関節数 + 腫脹関節数 + 患者VAS + 医師VAS + CRP(mg/dl)

※CRP (mg/dl)、VAS: 10㎝VAS

※関節対象の関節:上記28関節

 

活動性の評価

疾患活動性

SDAI

寛解

SDAI≦3.3

3.3<SDAI≦11

中等度

11<SDAI≦26

26<SDAI

 

CDAI(シーダイ)

CDAI(Clinical Disease Activity Index)は、腫脹関節数、圧痛関節数、患者VAS、医師VASで病状を示します。CDAIは、血液検査なしで算出できる数値です。

 

CDAI=圧痛関節数 + 腫脹関節数 + 患者VAS + 医師VAS 

※VAS:10㎝VAS

※関節対象の関節:上記28関節

 

活動性の評価

疾患活動性

CDAI

寛解

CDAI≦2.8

2.8<CDAI≦10

中等度

10<CDAI≦22

22<CDAI

CDAI自動計算

リウマチクラスでは「医師VAS」は、「患者VAS」と同等であると想定し、患者さんご自身でCDAIスコアを測定できるようにしました。ご自身の病状の把握に役立てていただければと思います。

 

CDAI測定(リウマチクラス)

まずは、自分の疾患活動性を知ろう

疾患活動性評価指標は、
●病状が客観的にわかる
●寛解に近づいているのかどうかを知る
●今行っている治療を見直す材料になる
・・・など、体の状況や治療内容を振り返る時に参考になる数値です。

 

かかりつけの医療機関で活動性の評価をしていただき、自分の疾患活動性を必ず把握するようにしましょう。高血圧の方が日々血圧を測定してチェックしているように、関節リウマチの方はご自身の疾患活動性を知ることが大切です。

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この記事の監修

湯川リウマチ内科クリニック 院長
日本リウマチ学会専門医・評議員
湯川宗之助

湯川リウマチ内科クリニック