自分で手当てできる、貼り薬・塗り薬

2017/08/28

治療

痛みで悩んでいる時、貼り薬や塗り薬が家庭にあれば、患者さんご自身が痛みの程度に応じて手当てができます。関節リウマチで使われるのは、主に非ステロイド性抗炎症薬の外用薬(貼り薬、塗り薬)です。

貼り薬:皮膚から成分が浸透し、腫れや痛みに届く

まず貼り薬の特徴や使い方をみていきましょう。

 

抗炎症作用の貼付薬(ちょうふやく)

痛むところに貼って使う薬です。主成分は、非ステロイド性抗炎症薬で、皮膚から患部に成分が浸透し、腫れや痛みを直接抑えます。パップ剤とテープ剤の2種類あります。

 

パップ剤

パップ剤

 

貼りやすく、水分を含むためシップ効果も期待できます。

長時間貼りつづけるとかぶれが起きやすく、貼ったところがずれるのが気になって動きにくい面があります。

基本的には12時間ごとに貼りかえます。(ロキソニン‐パップは24時間ごと)

 

テープ剤

 

パップ剤よりも粘着が強いので、はがれるのが心配な動きの多い部分に貼るのに向いています。貼りかえの目安は24時間ごとです。

 

湿布薬

パップタイプの貼り薬で、薬効成分の「サリチル酸メチル」には消炎・鎮痛作用があります。冷湿布と温湿布があります。

 

冷湿布

メントールやハッカ油が含まれています。熱感の強い急性期の腫れや痛みをやわらげるのに向いています。

 

温湿布

血行をよくするトウガラシエキスやノニル酸ワニリルアミドなどが含まれます。慢性的な関節痛や、冷えて痛む時に向いています。入浴すると症状が改善するような時期は温湿布が合うでしょう。
ただし、入浴前30分前後は貼らないようにします。

 

貼り薬の注意点

かぶれ

使い続けるとかぶれることがあります。貼る場所を少しずつずらす、ガーゼをあてた上から貼るなどの工夫をしましょう。

 

光による皮膚炎(光過敏症)

湿布薬ははがした後の部位に光を当てると皮膚炎(光過敏症)が起こることがあります。
紫外線に当たらないようにする、衣服やサポーターなどで部位をカバーする、皮膚を露出しないようにする、などの工夫が必要です。

塗り薬:さまざまなタイプがあり、浸透の仕方がちがう

塗り薬には、軟膏、クリーム、ローション、ゲル、スプレー・・・など、さまざまなタイプがあります。関節リウマチの塗り薬は、非ステロイド性抗炎症薬かステロイド薬で、抗炎症作用があります。

 

各製剤の特徴をみていきましょう。

 

軟膏

油の成分に富んでいて、皮膚の奥まで浸透していきます。そのため、体の深部の痛みへの効果が期待できます。

 

ゲル

液体の場合、塗るのに手間がかかったり、べたつきの不快感がある、などの問題があります。これを改善したのがゲルタイプの製剤です。塗りやすく、塗った後の使用感がよくなっています。

 

水溶性の塗り薬

水溶性の塗り薬は皮膚の浅い部分にとどまります。そのため、表面に近い部位の痛みをとるのに向いています。

 

ステロイド薬を主成分とする塗り薬

皮膚から吸収されたステロイドが関節に運ばれ、抗炎症作用を発揮して、痛みや腫れをやわらげます。特に、指や手首などの小関節の炎症を抑えるのに有効です。

貼り薬・塗り薬の副作用

外用薬(貼り薬・塗り薬)は、成分が吸収されても塗布部分にとどまるため、全身的な副作用は起きにくいといえます。

ただしアレルギー反応による副作用(皮疹、かぶれ、かゆみ、など)は、使用量とは関係なく起こりますので、注意が必要です。異常が現れた時は、医師に相談しましょう。

自宅に常備することで得られる安心感

貼り薬・塗り薬は、痛みや腫れに対する対症療法であり、関節リウマチそのものを改善するものではありません。しかし「痛み」は患者さん本人にしか分からないものであり、貼り薬・塗り薬は「自分でできる」数少ない治療手段の1つです。自宅に常備されていると安心感が得られるものでもあり、他の治療法と合わせてうまく活用していきたいですね。

この記事のタグ

この記事の監修

湯川リウマチ内科クリニック 院長
日本リウマチ学会専門医・評議員
湯川宗之助

湯川リウマチ内科クリニック