炎症を強力に抑制する、副腎皮質ステロイド薬

2017/08/28

治療

 

ステロイド薬に対して、あまりよい印象を受けない方もいるかと思います。しかし、効果が大きいからこそ、今でも使用されている薬です。副腎皮質ステロイド薬について正しく理解していきましょう。

 

体内で分泌されているホルモンを人工的に合成したもの

 

「副腎皮質」という小さな臓器では、約50種類のステロイドホルモンがつくられています。その中の1つが「コルチゾール」で、炎症や免疫反応を抑えたり、糖質や脂質などの代謝を調整する働きをするホルモンです。このコルチゾールを人工的に合成したものが副腎皮質ステロイド薬(ステロイド薬)というわけです。

ステロイド薬は、非ステロイド性抗炎症薬よりも効果が絶大です。

 

痛みや腫れを速攻で抑える効果がある

 

ステロイド薬は、関節リウマチの初期に痛みをコントロールする目的で短期間だけ使用することが多くなっています。抗リウマチ薬が効かない人にとっては、今でもステロイド薬は必要不可欠です。用量を調整しながら、副作用の少ない最低用量で使用するのが一般的です。

 

ステロイド薬の主な効果がみてみましょう。

 

 

痛みや腫れを改善する

 

炎症に関わる物質を抑えることで、病気の活動性をしずめます。ステロイド薬は非常に効果が高く、速効性があるので、服用をはじめると早ければ翌日から痛みや腫れが治まります。

 

 

骨破壊を抑える

 

「関節リウマチガイドライン」(米国リウマチ学会:2002年)では、低用量(プレドニゾロンに換算して110 mg以下)のステロイド薬使用は、骨破壊の進行を抑制し、機能改善に有効としています。

ただし、低用量でも長期にわたって服用することは副作用が増えるため、早期に一定期間のみ使用するのがベストです。

 

 

気分を元気にする

 

コルチゾール(ステロイド)はやる気を起こさせるホルモンといわれています。ステロイド薬は痛みや腫れを抑えると同時に、病気によって暗く沈んだメンタル面に作用し、気分を明るく積極的にする働きもあるんです。

 

副作用について正しく理解することが大切

 

ステロイドに限らず、薬には副作用がつきもの。ステロイドは副作用のイメージが強調される傾向にあり、「できれば飲みなくない」「早く量を減らしたい」と思う人も多いようです。もちろん、副作用の問題は軽視できないため、正しく理解することが大切になります。

 

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この記事の監修

湯川リウマチ内科クリニック 院長
日本リウマチ学会専門医・評議員
湯川宗之助

湯川リウマチ内科クリニック