最も厳しい寛解基準:Boolean寛解

2017/10/13

治療

関節リウマチの治療において、まず達成しなければいけないのが「臨床的寛解」です。寛解の基準には、DAS28、SDAI、CDAIが使われることが多いのですが、今回は最も厳しい寛解基準である「Boolean(ブーレアン)寛解」についてご紹介したいと思います。

 

DAS28、SDAICDAIについてはこちらの記事をご覧ください

Boolean(ブーレアン)寛解はDAS28、SDAI、CDAIよりも達成が難しい寛解基準

DAS28、SDAICDAIには計算式がありますが、Boolean(ブーレアン)寛解には計算が必要なく、下記のすべての項目が1以下である状態をBoolean寛解とします。

 

Boolean寛解

●圧痛関節数・・・1ヵ所以下
●腫脹関節数・・・1ヵ所以下
●患者疾患活動性全般評価(VASで0~10cm)・・・1㎝以下
●CRP(mg/dl)・・・1 mg/dl以下

 

Boolean寛解は、DAS28、SDAI、CDAIよりも厳しい寛解基準です。Boolean寛解で「寛解」となれば、DAS28、SDAI、CDAIでも寛解とみなされます。

それぞれの項目をみていきましょう。

 

圧痛関節数・腫脹関節数

圧痛関節と腫脹関節は、下図の28関節について調べます。

 

●圧痛関節:おさえた時に痛みのある関節のこと。
●腫脹関節:腫れている関節のこと。

 

Boolean寛解の基準では「圧痛関節数も腫脹関節数も、あっても1ヵ所だけ」ということになります。

28個の関節のチェック

 

患者疾患活動性全般評価

長さ10cm100㎜)の水平な線上で、0 [左端]を体調が大変よい(症状がない)100 [右端]を体調が非常に悪い(過去最大の症状)とした場合、現在の症状がどのあたりかを評価します。

 

Boolean寛解は、VAS010㎝で評価するので、下記のようにVAS値が33㎜の場合「VAS3.3(㎝)」となります。

VAS1.0(㎝)以下」でBoolean寛解の基準を満たします。

 

VASのイメージ

CRP

CRPとは、血液検査でわかる炎症反応物質のことです。

CRP1.0 mg/dl以下」でBoolean寛解の基準を満たします。

 

保存保存

Boolean寛解の先に、休薬がまっている!

Boolean寛解を達成し、その状態を維持することは、バイオフリー寛解(生物学的製剤を中止して寛解を維持する)やドラッグフリー寛解(すべての薬剤を休薬・中止した状態で寛解を維持する)につながります。そして、ドラッグフリー寛解の状態を維持することが、いわゆる完治となるのです。

 

この記事のタグ

この記事の監修

湯川リウマチ内科クリニック 院長
日本リウマチ学会専門医・評議員
湯川宗之助

湯川リウマチ内科クリニック