肺炎を予防する「肺炎球菌ワクチン」

2017/11/01

治療

肺炎を予防する「肺炎球菌ワクチン」をご存知でしょうか?

関節リウマチの患者さんは、治療薬の副作用などで免疫力が落ち、感染症にかかりやすい状態になっていることがあります。今回は、特に65歳以上の方にはぜひ受けていただきたい予防接種「肺炎球菌ワクチン」についてご紹介します。

約7割の肺炎球菌感染症が予防できる

肺炎球菌に感染し重症化すると、気管支炎、肺炎、敗血症などの重い合併症を起こすことがあります。肺炎球菌ワクチンは、肺炎を予防し、重症化を防ぐことができます。

 

成人用肺炎球菌ワクチンには2種類あり、現在、定期接種となっているのは23価肺炎球菌ワクチンです。肺炎球菌には 93 種類の血清型がありますが、23価肺炎球菌ワクチンには、このうちの23種類の血清型に効果があります。この23種類の血清型は成人の重症の肺炎球菌感染症の原因の約7割を占めるという研究結果※があります。

接種して約3週間で抗体ができ、免疫は5年以上持続します。

 

※病原微生物検出情報IASR 「<速報>2013年度の侵襲性肺炎球菌感染症の患者発生動向と成人患者由来の原因菌の血清型分布」より

日本人の死因 第3位:肺炎

日本人の死因1位はがん、2位は心疾患、3位は肺炎、4位は脳血管疾患です。肺炎は決して軽く考えてはいけない病気だといえます。そして、肺炎で亡くなる方の約95%は、65歳以上の方です。

そのため、肺炎予防として、特に65歳以上の方に対する肺炎球菌ワクチン接種が推奨されています。

接種費用の一部が公費負担される場合も

肺炎球菌ワクチンは、平成26101日から定期接種になり、接種費用の一部が公費で負担されるようになりました。対象となる方※は、肺炎球菌ワクチンの定期接種を1回受けることができます。

 

接種可能な医療機関、費用、対象者などは、お住まいの市町村にお問い合わせください。

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この記事の監修

湯川リウマチ内科クリニック 院長
日本リウマチ学会専門医・評議員
湯川宗之助

湯川リウマチ内科クリニック