滑膜切除術:痛みや腫れをやわらげる治療法

2017/08/23

治療

関節リウマチの手術は大きく2つに分類されます。1つは「関節の痛みや腫れをやわらげる手術」。もう1つは「破壊された関節の機能を回復させる手術」です。今回ご紹介する「滑膜切除術」は関節の痛みや腫れをやわらげる手術です。

初期の痛みをとる「滑膜切除術」

滑膜切除術は一般に、まだ軟骨が十分に残っている早期(ステージ12)に行われる手術です。関節破壊が進み、軟骨がなくなってしまった状態では行えません。

 

滑膜切除術のメリット

薬の服用をつづけていても、炎症をコントロールできない場合に滑膜切除術を検討します。炎症を起こしている滑膜そのものを取り除くことで、痛みや腫れをやわらげることができます。

手術後、数年間は炎症が抑えられますので、薬の服用を減らすことができ、副作用の心配が少なくなることもメリットです。

 

内視鏡下の切除術が主流

かつては関節を大きく切り開く手術が行われていましたが、現在では内視鏡下での手術が主流になりました。

皮膚に小さな孔をあけて内視鏡(関節鏡)を挿入し、モニターに映し出された画像を見ながら手術を行います。切開する部分が少ないため、患者さんの負担が少なく、回復が早いことがこの手術の良さです。

 

効果は永久にはつづかない

残念ながら、手術による効果は永久にはつづきません。滑膜は、切除しても再生し、また炎症を起こす可能性があります。術後23年すると再発する場合が多いです。

 

滑膜切除術は減っている

生物学的製剤の登場により、早期の炎症を抑えられるケースが増えました。そのため滑膜切除術は減ってきています。しかし、薬では炎症をコントロールできない場合は未だにあり、そういたケースには手術が行われます。

 

行われる部位

ひざ、手首、肩、ひじ、足首などに行われます。特にひざ関節への滑膜切除術は治療効果があり、よく行われています。

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この記事の監修

湯川リウマチ内科クリニック 院長
日本リウマチ学会専門医・評議員
湯川宗之助

湯川リウマチ内科クリニック