つらい症状は、滑膜の炎症からきている

2017/08/24

基礎知識

関節リウマチは滑膜(かつまく)に炎症が起きる病気です。滑膜は関節を構成している要素の1つですが、軟骨と比べるとその存在はあまり知られていませんよね。今回は滑膜について一緒に勉強していきましょう!

滑膜は、骨と骨との間にある「水まくら」

関節を動かす時に、硬い骨どうしがぶつかって傷ついたり、痛みが出ないようにしているのが「軟骨」と「滑膜」です。

 

関節の骨と骨が向き合う面は「軟骨」でおおわれています。軟骨はコラーゲン(膠原繊維)に富んでいて、水分を7080%も含む弾力性のある組織で、関節を滑らかに動かす働きをしています。

 

「滑膜」は軟骨の働きを助けています。滑膜は厚さ1mmにも満たない薄い膜で関節の内側をおおっています。滑膜からは関節液が分泌されていて軟骨がこすれ合う時の潤滑油になったり、軟骨へ栄養を補給していたりします。

滑膜は、関節液がもれないように閉じられたビニール袋のような組織。それはまるで、骨と骨との間につくられた「水まくら」のようなクッションです。

滑膜の炎症が、はれ・痛み・骨破壊を引き起こす

しかし、異常な免疫活動が起こってしまうと、滑膜に炎症が起き、クッションの役割が果たせなくなります。

 

滑膜は充血して腫れあがり、もとの厚さの何倍にも膨れあがります。関節腔には関節液がたまり、関節リウマチ特有の「腫れ」が起きるのです。

 

また、発痛物質(炎症性サイトカイン、プロスタグランジンなど)もたくさん作られます。滑膜には多くの神経が分布しているので、発痛物質が溶け込んだ関節液に触れ、くり返し刺激されることで「痛み」が起こります。

滑膜には浮腫(むくみ)も起きているため、神経が圧迫されてさらに痛みます。

 

滑膜の炎症が自然に良くなることは少なく、慢性化してしまうと軟骨や骨にまで病変が入り込んでしまします。これが「骨破壊」の状態です。

治療しなければ、関節は少しずつ破壊されていく

このように滑膜の炎症によって、関節の「はれ」「痛み」さらに「骨破壊」が起きるんですね。関節リウマチが発病してから12年で骨の破壊が始まるといわれています。

関節に違和感を感じたら、「歳のせいだから」「疲れがたまったから」「我慢できなくもないし」などと放置せずに、早めにリウマチ専門医に相談しましょう!

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この記事の監修

湯川リウマチ内科クリニック 院長
日本リウマチ学会専門医・評議員
湯川宗之助

湯川リウマチ内科クリニック