関節破壊の進行度(ステージ1~4)と現れる症状

2017/08/24

基礎知識

関節リウマチでは、発病後12年で関節の破壊が起きるといわれています。関節破壊の程度は、4段階に分類されます。各段階で、関節では何が起きているのか、そして、どんな症状が現れてくるのかをみていきましょう。

ステージ1(初期):軟骨や骨の破壊がない状態

関節で起きていること

炎症によって滑膜の細胞が増殖し、表面が絨毛上になります。関節液もたまり始めます。たまった関節液はカルシウムを奪うので、関節炎の部位は骨粗しょう症になります。

ただし、軟骨や骨の破壊はまだない状態です。

 

症状

軽度の関節の腫れ、こわばり、痛み、熱っぽさが現れます。

ステージ2(進行期):軟骨の破壊がはじまる

関節で起きていること

関節の骨と骨の隙き間がさらに狭くなります。骨の表面が削れて小さな穴ができる「骨びらん」もみられ、これが関節リウマチの有力な診断材料になります。
滑膜細胞の増殖によって形成された肉芽(にくげ)が軟骨にとりつき「パンヌス」という膜状の組織をつくって軟骨をおおいます。このパンヌスが軟骨を破壊していきます。
肉芽の一部は骨にまで侵入し、骨の組織を侵食して「嚢胞(袋状のもの)」を形成します。この段階では、まだ骨が変形するほどではありません。

 

症状

ステージ2だからといって特定の症状があるわけではありません。初期症状に気づいた段階で診察を受けるようにしましょう。

ステージ3(高度期):骨の破壊が進み、変形が起こる

関節で起きていること

軟骨が失われ、関節を動かすと骨と骨が直接こすれあって痛みを生じます。骨の破壊がさらに進むと、関節がうまくかみあわなくなり、脱臼や亜脱臼が起きることもあります。

そして、関節の動きが悪くなるにつれて、関節のまわりの腱や筋肉の収縮も進行してしまいます。そうなると関節を支えることが困難になり、変形が起きてしまうのです。

 

症状

動きが制限され、日常生活に支障をきたします。

関節がきしむ音をたてたり、痛みで曲げ伸ばしができなくなります。

ステージ4(末期):強直(きょうちょく)やムチランス変形がみられる

関節で起きていること

骨と骨がくっついて1つの骨のようになる「強直」が起きると、関節はまったく動かせなくなります。また、骨と骨が離れてしまい、ぶらぶらと不安定な状態になる「ムチランス変形」がみられることもあります。

症状

痛みはやわらぐ場合が多いです。

関節の機能が完全に失われてしまいます。

自分のステージを知ることも大切

関節破壊の程度は、X線画像などをみて医師が判断します。関節破壊のステージによって適した治療が変わってくるので、ご自身のステージはどのあたりなのかを知ることが治療を進める上でも大切です。

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この記事の監修

湯川リウマチ内科クリニック 院長
日本リウマチ学会専門医・評議員
湯川宗之助

湯川リウマチ内科クリニック