メトトレキサートを使用できない場合もあるの?
2017/10/16

関節リウマチの治療薬として世界中で使用されているメトトレキサート(MTX)。しかし、さまざまな理由でMTXが使えない方もいらっしゃいます。どんな方は使用できないのか、みていきましょう。
メトトレキサート(MTX)が使用できないケース
下記のような人には、病気の悪化や副作用の危険性があるためメトトレキサートの投与は行わないことになっています。
骨髄抑制とは、白血球・好中球減少による感染(発熱)、血小板減少による出血傾向、赤血球減少による貧血症状が出現した状態をいいます。
骨髄抑制を悪化させる恐れがあるため、使用できません。
●妊娠中の人、妊娠を希望している人
催奇形性を疑う症例報告があり、また、動物実験で胎児死亡及び先天異常が報告されているため使用しません。
妊娠を希望する場合、男性も女性も少なくとも3カ月前には服用を中止します。
●授乳中の人
母乳中への移行が報告されているため、使用しません。
●慢性肝疾患がある人
副作用が強くあらわれる危険性があるため、使用しません。
●腎障害がある人
副作用が強くあらわれる危険性があるため、使用しません。
●活動性結核がある人
結核の発症リスクが上昇するため、使用しません。
●胸水、腹水などがある人
胸水、腹水等にMTXが長期間貯留して毒性が増強されることがあるため、使用しません。
●重症の感染症がある人
感染症を悪化させる可能性があるため、使用しません。
●重症の呼吸障害がある人
呼吸障害を悪化させる可能性があるため、使用しません。
●メトトレキサートの成分に対し過敏症の既往歴がある人
使用禁止ではないが、注意が必要な場合も
下記の場合は、MTX服用禁止ではありませんが、安全に治療を行うために慎重に経過観察する必要があります。
◇65才以上の高齢者
◇潜在性結核感染症が疑われる場合
◇ニューモシスチス肺炎の発症リスクが高いと判断される場合
●血液・リンパ系の病気をもっている人
◇白血球数、血小板数が少ない場合
◇薬剤性骨髄障害の既往歴がある場合
◇リンパ増殖性疾患の既往歴がある場合
◇リンパ節腫脹がある場合
●低アルブミン血症の人
●肝障害がある人
◇アルコール常飲者
◇B型肝炎ウイルスを持っている場合、既往歴のある場合
◇C型肝炎ウイルスを持っている場合
◇AST、ALT、ALPが基準値の上限の2倍を超える場合
●腎障害がある人
●呼吸器障害がある人
◇画像検査で間質性肺炎、COPD、非結核性抗酸菌症の疑いがある場合
◇間質性肺炎(軽度)
メトトレキサート投与前の問診・検査が大切!
このようにMTXを使用できない場合や、慎重に使用しなければいけない場合があるので、関節リウマチだからといってすぐにMTXを投与することはできません。
関節リウマチ以外の病気の有無、過去にかかったことのある病気、治療する上でのリスクの有無などを問診や検査で調べなければ安全な治療ができないのです。
MTXが投与できなくても、他の薬がある
たとえMTXが使用できなくても、心配しないでください。MTX以外にも多くの抗リウマチ薬があり、治療を進めることができます。
引用
推奨
5.MTXが禁忌の症例(あるいは早期の不耐)にはレフルノミドかスルファサラジンを(初期)治療戦略として考慮すべきである。
EULAR recommendations 2016 update(ヨーロッパリウマチ学会からの勧告)
このように、ヨーロッパリウマチ学会からも、MTXが使えない場合には「レフルノミド(商品名:アラバ)」か「スルファサラジン(商品名:アザルフィジンEN)」を考慮するように勧告されています。