リハビリテーションが重要なワケ

2017/08/23

治療

リハビリテーションは補完的なものと考えていませんか? たしかにリハビリだけで病気が治ることはありませんが、他の治療と並行して行うことで良い効果が現れます。そして日常動作の不自由さを防ぐために、非常に重要な役割を担っているのがリハビリなんです。

動かさないと骨・関節・筋肉は弱っていく

体の骨、筋肉、関節(軟骨)、腱、靭帯は動かすことで正常な生理機能や新陳代謝が営めるようになっています。関節リウマチの痛みによって関節が動かしにくくなると、周囲の筋力が低下し、動かせる範囲も狭くなってしまうのです。

 

骨には運動の負荷が必要

骨は、古い骨が吸収され新しい骨に置きかえられていくことで維持されています。新しい骨が作られるためには、骨に負荷(運動負荷)をかけることが必要です。負荷がかからないと、カルシウムが抜けて骨がもろくなってしまいます。

 

歩くことで酸素や栄養が補給される

あまり知られていませんが、関節の軟骨には血管やリンパ管といった酸素や栄養を運ぶ管がありません。そのため、必要な酸素と栄養は「滑膜」から補給されているんです。
この滑膜からの補給作業は、歩くことで機能します。歩くと関節内の圧力が上下し、そのポンプ作用で滑膜の動きが活発になり、軟骨への補給が盛んになるのです。歩かないとポンプ作用が働かないため、補給がうまくいかず、軟骨が弱っていきます。

 

動かないと確実に弱っていく

ベッドで寝たきりの状態がつづくと、筋力は1日に5%ずつ低下し、背骨のカルシウム量は0.9%ずつ失われるといわれています。骨、筋肉、関節は使わないと弱っていってしまいます。

リハビリの頑張りすぎは危険!専門家に相談を

リハビリはやればやるほど良いのでしょうか?それは違います。

重い荷物を持ったり、歩きすぎたり、過度な運動を行ってしまうと、関節の炎症が悪化して腫れてしまったり、水がたまってしまうことがあります。関節リウマチでは、炎症が激しい時は炎症をしずめるために安静にする必要があります。しかし、安静な状態をつづけると今度は関節が動かなくなってしまうのでやっかいです。

 

リウマチクラス

 

このような問題を解決するために理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、運動療法士などのリハビリの専門家に、自分に合った適切なリハビリテーションを教えてもらいましょう。そして根気よくリハビリを継続することが、日常生活の質を維持することに役立ちます。

この記事の監修

湯川リウマチ内科クリニック 院長
日本リウマチ学会専門医・評議員
湯川宗之助

湯川リウマチ内科クリニック