メトトレキサートは世界の標準薬

2017/08/25

治療

免疫抑制薬にはいくつか種類がありますが、その中でも最も使われているのが「メトトレキサート(MTX、商品名はリウマトレックス)」です。メトトレキサートの効果や副作用についてご紹介します。

世界の標準薬といわれる理由

メトトレキサートは世界で最も使われている免疫抑制薬で、欧米ではリウマチ患者さんの70%以上が服用しているといわれます。日本では1999年に関節リウマチの治療薬として保険適用が認められました。

 

比較的早く効き、有効率が高い

メトトレキサートは服用開始後2~4週間で効果が現れます。抗リウマチ薬は効き目が現れるのが遅い(2~3ヵ月)薬が多いため、メトトレキサートは比較的早く効果が出る薬といえます。
さらにエスケープ現象*が少なく、3年以上経過しても50%以上の方が服用をつづけています。数ある抗リウマチ薬の中でもメトトレキサートの有効率の高さは群を抜いているのです。

 

*エスケープ現象:抗リウマチ薬によって関節リウマチがコントロールされ、良好な状態にあった方が、同じ薬をつづけているにも関わらず、再び病気が活発になってしまうこと。

 

葉酸を抑制し、免疫システムを調整する薬

メトトレキサートは「葉酸」の産生を抑制することで、骨や軟骨の破壊を防ぎます。葉酸は細胞が分裂・増殖する時に重要な物質で、これを抑えることによって、関節で活発になってる免疫細胞(T細胞、滑膜細胞)の増殖をコントロールできるわけです。

 

副作用を防ぐ使い方がある

メトトレキサートは量が増えるほど効果も高くなりますが、その分副作用も起こりやすくなるのでリスクと効果を考えながら調整が必要です。

 

副作用としては、服用開始から数ヵ月~1年半でみられる口内炎や胃腸障害、肝障害があります。このような副作用は葉酸を補給することで防げます。葉酸の錠剤をメトトレキサートを服用した日から1日おいて5㎎服用します。

 

まれに骨髄障害や肺線維症が起こることがありますが、このような重篤な副作用も医師と患者さんの双方が慎重に対応すれば防ぐことができます。

 

妊娠中は服用してはいけない

メトトレキサートには催奇性(奇形を誘発)があるため、妊娠中は禁忌となります。また妊娠を希望する女性は休薬がすすめられます。

この記事の監修

湯川リウマチ内科クリニック 院長
日本リウマチ学会専門医・評議員
湯川宗之助

湯川リウマチ内科クリニック