上肢と下肢のチェックポイント
2017/09/12

関節リウマチの診察では、全身をくまなく調べていきますが、特に上肢と下肢のチェックは重要だとされています。今回は「上肢」と「下肢」の何をポイントにみているのかを紹介します。
「関節」の状態をみる
上肢、下肢のどの関節に、どんな「痛み」があるのかを調べます。痛みといってもさまざまで、じっとしていても痛いのか、押した時に痛むのか、動いたときに痛むのか、など痛みの区別の重要です。
痛み以外も「腫れ」「熱感」「変形」があるかどうかや、関節の可動域(動かせる範囲)もチェックしていきます。
運動機能を評価する
関節リウマチになったことで運動機能に変化がないか、確認していきます。
握力
関節リウマチになると一般的に握力が弱くなります。握力は上肢の運動機能を知る目安になります。
肩・ひじの関節の動き
患者さんに「バンザイ」をしてもらって状態をみます。
手・手指の関節、筋肉の状態
患者さんに「グー・チョキ・パー」をしてもらい、その動きから運動機能を判断します。
その他にも下記のような動作チェックで運動機能を判断する材料になります。
歩行能力
下肢の状態をみる上で歩行能力のチェックは重要です。
2:30分以上、続けて歩ける
3:30分以内なら、続けて歩ける
4:室内だけなら歩ける
5:歩けない
の5段階に分けて、どの段階にあるかをみていきます。
歩く時につえや松葉杖が必要かどうかもチェックの対象です。
また、バス、車、電車などの乗り降りができるか、階段の上り下り、洋式トイレの使用が可能かどうかも運動機能を知る目安となります。
血管の異常
関節リウマチでは全身の結合組織(細胞と細胞の間にある組織)やそこを走っている血管も炎症の場になります。
レイノー症状
皮膚がまだらに変色する症状です。通常は寒冷刺激に反応して現れます。
血管炎による症状
◇つめの周辺や指の皮膚の病変
つめ周辺の点状出血、皮疹、発疹、紫斑など
◇下腿潰瘍
ひざから足首までの間の皮膚に穴があきます。
◇橈骨(とうこつ)神経麻痺
手首のところで手が垂れ下がり、伸ばせなくなります。
◇腓骨(ひこつ)神経麻痺
足先が上がらなくなります。そのため、スリッパが自然に脱げてしまう、といったことが起こります。
※血管炎が特に重症なタイプは、特定疾患の「悪性関節リウマチ」と診断されます。
関節リウマチは全身のチェックが大切!
上肢と下肢だけでも、かなりのチェックポイントがありますね。関節リウマチは関節以外の症状も多いため、日常生活の動作や皮膚の状態まで、くまなく調べていくことが大切になります。ご自身でも気になる点があれば、些細なことでも医師に相談するようにしましょう。