病名から「慢性」が外された理由

2017/08/24

基礎知識

2002年まで、関節リウマチの正式な病名が「慢性関節リウマチ」だったことをご存知ですか?どうして「慢性」が外されたのでしょうか。

「国際的な考え方」と「現代の治療」をふまえ「慢性」をはずした

「慢性関節リウマチ」と名付けられたのは、1957年のことです。当時の日本リウマチ協会(現在の日本リウマチ学会)によって、病名として正式に採用されました。病名が変更になったのは、20024月のことです。日本リウマチ学会は病名から「慢性」をとり「関節リウマチ」と改めることを通達しました。

 

変更の理由としては、下記のような意見があったといわれます。

 

●国際的な病名「Rheumatoid Arthritis」には「慢性」という概念はない。そして病気は急性に近い経過をたどることもある。

 

●「Rheumatoid Arthritis」にふくまれる炎症という概念が欠落している。

 

●「慢性」という言葉が患者さんに与える精神的ダメージが大きい。早期診断・治療によって、発症初期に寛解する例も少なくない。

 

「慢性関節リウマチ」は日本独自の用語であったことや、早期発見・早期治療が重視される現代において「不治の病」のような不安をまねく病名は適当ではない、と考えられたんですね。

劇的な進化をとげた関節リウマチの治療

関節リウマチの治療は、かつては膠原病グループの中では最も遅れていました。しかし今では、他をリードするほどの進化をとげたのです。早期に診断し、早期に免疫抑制薬や生物学的製剤を使用することで、寛解を達成し治癒も期待できるようになっています。病名変更には「リウマチを慢性化させず、治癒させたい」という強い願いが込められているように感じます。

 

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この記事の監修

湯川リウマチ内科クリニック 院長
日本リウマチ学会専門医・評議員
湯川宗之助

湯川リウマチ内科クリニック