関節液検査:炎症や免疫細胞を見る

2017/10/03

検査

 

関節液は滑液ともよばれ、関節の骨と骨のすき間を満たしている液体です。関節液を調べることで何がわかるのか、ご紹介したいと思います。

 

炎症によって関節液は増え、にごる

 

関節液の量は、炎症が起こると増えます。これは炎症によって滑膜から血液の成分が染み出るためです。関節液は通常1ml程度ですが、ひざなどの大きな関節では50mlにもなることがあります。

そして正常な関節液は無色透明ですが、炎症や化膿があると、乳白色または緑がかった黄色になりにごってきます。

 

炎症が起きると粘り気がなくなる

 

健康な関節液は非常に粘り気があるものですが、炎症が起こると粘り気がなくなります。これは、関節液が増えることでヒアルロン酸が薄まったり、関節液に含まれている酵素がヒアルロン酸の成分を分解してしまうからです。

 

この現象は関節リウマチ特有のものではなく、関節炎では広くみられます。関節液の中に細菌がいるか、結晶があるかどうかを調べることで、炎症が細菌によるものか、結晶によるものかを区別することは、痛風や偽痛風を区別するために重要です。

 

関節液にもリウマトイド因子が現れる

 

関節リウマチになると、関節液の中にも免疫細胞(リウマトイド因子や好中球、マクロファージなど)が増えます。好中球が増えるため、白血球の数値も正常値の500倍にも達することがあります。

 

正常な関節液/関節リウマチの関節液の比較

 

項目

正常な関節液

関節リウマチの関節液

たんぱく

2g/dl

増加

血清と同様

低下

補体

グロブリン量と平行

低下

リウマトイド因子

陰性

陽性

多核白血球

25%以下

65%以上

白血球数

300個以下

5000~60000

粘度

高い

低い

pH

7.4

低下

色・透明度

無色か淡黄色で透明

乳白色または緑がかった黄色、にごる

少ない

多い

 

※検査項目や正常値は、医療機関によって異なる場合があります。

 

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この記事の監修

湯川リウマチ内科クリニック 院長
日本リウマチ学会専門医・評議員
湯川宗之助

湯川リウマチ内科クリニック