「リウマトイド因子」と「抗CCP抗体」が陽性、これは関節リウマチ?

2017/09/15

診断

関節リウマチを診断する時に、自己抗体である「リウマトイド因子」と「抗CCP抗体」を調べることがあります。今回は、リウマトイド因子と抗CCP抗体の陰性・陽性の考え方についてご紹介します。

リウマトイド因子:陽性・抗CCP抗体:陽性でも、関節リウマチとは限らない

リウマトイド因子と抗CCP抗体の検査は、関節リウマチを診断する上で有用な検査ですが、陽性だからといって、関節リウマチと断定することはできません。関節リウマチの診断は、問診や関節の腫れ・痛み、X線画像、血液検査などを総合的にみて診断していきます。

 

実際、リウマトイド因子:陰性・抗CCP抗体:陰性でも関節リウマチの方はいます。陰性だからといって関節リウマチを否定することはできない、ということも知っておきましょう。

関節リウマチを診断する上で重要な検査ではある

ACR/EULAR新分類基準では、X線画像で“骨びらん”がみられなくても、下記の分類基準(表1)の合計が6点以上(10点満点中)であれば関節リウマチと診断します。

 

表1を見ていただくとわかる通り、リウマトイド因子と抗CCP抗体が陽性であれば、それだけで2~3点と高いウェートを占めます。関節リウマチの診断を行う上で、リウマトイド因子と抗CCP抗体の検査結果はそれだけ重要度が高いものだとみなされているのです。

 

1:分類基準

下記の分類(1)~(4)の合計スコアを算出します。

6点以上は関節リウマチです。

ACR/EULAR新分類基準の詳細はこちら

 

(1)腫れ、または圧痛のある関節の数

腫れ、または圧痛のある関節の数

スコア

中、大関節の1カ所

0

中、大関節の210カ所

1

小関節の13カ所

2

小関節の410カ所

3

最低1つの小関節を含む11カ所以上

5

◇小関節:手の親指の第1・第2関節、人差し指~小指の第2・第3関節、手首の骨びらん

◇中・大関節:肩、ひじ、ひざ、股、足首の骨びらん。変形性関節症との鑑別のため、手指の第1関節、足親指の第1関節は除外する。

 

(2)血清反応

血清反応

スコア

リウマトイド因子、抗CCP抗体の両方が陰性

0

リウマトイド因子、抗CCP抗体のいずれかが低値陽性

2

リウマトイド因子、抗CCP抗体のいずれかが高値陽性

3

◇陽性基準は、施設ごとの正常値を超える場合。

◇低値陽性は、正常上限~その3倍まで

◇高値陽性は、正常上限の3倍を超える場合

 

(3)罹患期間

罹患期間

スコア

6週未満

0

6週以上

1

◇評価時に、腫れまたは圧痛関節のうちで、患者が申告する罹患期間

 

(4)炎症反応

罹患期間

スコア

CRP、ESRの両方が正常

0

CRPもしくはESRのいずれかが異常高値

1

◇陽性基準は施設ごとの正常値を超える範囲。

◇スコアリングには最低1つの血清反応と最低1つの炎症反応の測定が必要

関節リウマチの診断は、総合的に行う

関節リウマチの診断は、患者さんが感じている症状や、さまざまな検査結果をふまえて総合的に判断していくものです。「○○○が陽性だから関節リウマチ」と決定する検査はないため、関節リウマチと疑わしい症状がある場合は、リウマチ専門医に相談するようにしましょう。

この記事の監修

湯川リウマチ内科クリニック 院長
日本リウマチ学会専門医・評議員
湯川宗之助

湯川リウマチ内科クリニック