血液検査1:炎症反応、病気の活動性をみる検査
2017/08/23

血液検査は関節リウマチの診断・治療において中心的な検査です。しかし、血液検査の結果は専門用語が多く、難しく感じる方が多いのではないでしょうか。今回は血液検査の中でも「炎症反応検査」と「血液一般検査」をピックアップして説明していきます。
※ご紹介する検査項目や正常値は、医療機関によって異なる場合があります。
※正常値からはずれていても、関節リウマチと断定するものではありません。関節リウマチは、問診やさまざまな検査を総合的に判断して診断を行います。
炎症の状態を知る「赤沈」「CRP」「MMP-3」
関節リウマチは関節内の滑膜に炎症が起こる病気です。そこで赤沈、CRP、MMP-3を測定して体内の炎症の強さを調べます。治療をしているにも関わらず炎症が起きている場合は、治療を見直す必要があります。
赤沈(赤血球沈降速度)
検査の意味
炎症の強さの程度が分かります。数値が高いと炎症が強まっている可能性があります。また、病気の活動性の目安となるため、数値が高い場合は病気が活発であることを示します。
※貧血、感染症、がん、腎不全、妊娠などでも数値が高くなります。
正常値
◇女性:3~15㎜(1時間)
◇男性:1~9㎜(1時間)
関節リウマチの場合
正常値より10㎜以上高いと、体内で炎症が起きている可能性があります。
関節リウマチの中期では、30~40㎜。高度期では80㎜以上になるとされています。
CRP(C反応性たんぱく)
検査の意味
炎症の強さの程度が分かります。赤沈のように貧血の影響を受けません。
※感染症や組織障害でも現れます。
正常値
陰性(-)となります。
関節リウマチの場合
陽性(+)となります。
MMP-3(マトリックスメタロプロテアーゼ‐3)
検査の意味
滑膜の増殖の程度が分かります。また病気の活動性をみます。
正常値
◇女性:60 ng/ml以下
◇男性:120 ng/ml以下
関節リウマチの場合
正常値を超えます。
関節リウマチの活動性・副作用をみる血液一般検査
血液一般検査では、白血球、赤血球、血小板など血液中の血球細胞を調べる検査です。血算と呼ばれることもあります。関節リウマチの活動性が分かるだけでなく、内臓の異常や薬の副作用が起きていないかが分かるため、定期的に検査します。
白血球
検査の意味
関節リウマチでは増加傾向があり、感染症になると1万個以上になります。3500個以下の場合は、薬の副作用や他の病気が疑われます。
正常値
◇女性:3800~10100個/μl
◇男性:3500~9300個/μl
関節リウマチの場合
増加傾向にありますが、早期では7000個程度と正常値の範囲にとどまります。炎症が強くなったり、ステロイド薬の影響によって1万個以上になることも。血管炎を伴う悪性関節リウマチでも増加します。
赤血球
検査の意味
貧血になると減少傾向になります。
正常値
◇女性:380~490万個
◇男性:400~540万個
関節リウマチの場合
関節リウマチでは貧血を伴うことが多いため、活動性が高くなると減少していきます。
血小板
検査の意味
貧血になると減少します。10g/dl以下になると中等度の貧血といえます。
正常値
◇女性:11.4~14.7g/dl
◇男性:12.0~16.2g/dl
関節リウマチの場合
関節リウマチでは貧血を伴うことが多いため、活動性が高くなると減少していきます。
血小板
検査の意味
炎症があったり、病気の活動性が高くなると増加します。減少する場合は、薬の副作用が考えられます。
正常値
◇女性:13万~36万個/μl
◇男性:13.1万~36.2万個/μl
関節リウマチの場合
関節リウマチの炎症があると血小板は増えます。病気の活動性が高く、治療に対して激しい抵抗性があると極端に多くなることもあります。
減る場合は薬の副作用を疑います。
体内で起こっていることを知らせてくれる血液検査
いかがでしたか。血液にはさまざまな細胞や物質が含まれていて、体内の健康状態を敏感に反映します。血液検査の結果を読み解き、ご自身の病状の理解に役立てていただけたらと思います。