血液検査2:自己抗体を調べる検査(リウマトイド因子、抗CCP抗体)
2017/08/25

関節リウマチは免疫の働きに異常がみられる病気です。異常を起こすもとになる自己抗体(自分の成分に反応する抗体)の有無や種類、量を血液から調べます。今回は血液検査の中でも「自己抗体を調べる検査」について説明します。
※ご紹介する検査項目や正常値は、医療機関によって異なる場合があります。
※正常値からはずれていても、関節リウマチと断定するものではありません。関節リウマチは、問診やさまざまな検査を総合的に判断して診断を行います。
診断の目安となるリウマトイド因子
自己抗体にはいくつも種類がありますが、関節リウマチの場合は「リウマトイド因子」を調べます。この検査は「リウマチ反応」と呼ばれることもあります。
陽性だからといって、関節リウマチと確定はできない
リウマトイド因子を測る方法はいくつかありますが、「RAテスト」が一般的。RAテスト「20以上で陽性」とされます。
しかし、陽性だからといって関節リウマチと確定することはできません。関節リウマチの方すべてがリウマトイド因子陽性となるわけではないからです。早期では50%の人にしか陽性にならず、すべての経過を通してみても陽性になるのは70~80%です。
また全身性エリテマトーデスの方20~30%は陽性になるとされ、シェーグレン症候群では70%の方が陽性になるという報告もあります。膠原病以外の病気でも、肝硬変や結核があると陽性になることがあります。健康な方でも若い人で2~4%、60歳以上になると10~20%が陽性になります。
病気の活動性と連動する
関節リウマチの確定はできませんが、リウマトイド因子の値と関節リウマチの活動性には連動性があると考えられています。
つまりリウマチ反応が陽性で、高値であるほど関節リウマチの期間が長く、関節破壊が進む傾向があります。またリウマチ結節や胸膜炎、肺線維症など、関節以外の症状も多くみられます。
抗CCP抗体検査で早期発見が可能に
リウマトイド因子よりも精度が高い検査法として「抗CCP抗体検査」があります。この抗CCP抗体は、関節リウマチの方70~80%がもち、関節リウマチに特徴的な自己抗体です。
抗CCP抗体検査によって、関節リウマチがまだ発症していない早期や関節の腫れが少ない時期、リウマトイド因子は陰性であるが関節リウマチの可能性が高い方などの難しいケースの診断が可能になりました。
※抗CCP抗体検査は、2007年から保険適用になりました。
自己抗体を調べると、関節リウマチの診断がつけやすくなる
このように、リウマトイド因子や抗CCP抗体を調べることで、関節リウマチの診断をより確実なものにしていきます。
ただし、リウマトイド因子や抗CCP抗体が陽性だからといって、100%関節リウマチと確定するわけではないことも覚えておきましょう。