血液検査3:内臓の機能を反映する生化学検査
2017/08/25

血液中の「血清*」には、栄養素やその老廃物、酵素、電解質、色素、ホルモンなどが含まれていて、これらが肝臓や腎臓の機能を反映します。この血清に含まれる物質の種類や量を調べる検査を「生化学検査」といいます。関節リウマチにおける生化学検査の役割をご紹介していきたいと思います。
*血清:血液は血球(赤血球、白血球、血小板など)と血漿からなります。血漿から凝固成分を抜いたものが血清です。
※ご紹介する検査項目や正常値は、医療機関によって異なる場合があります。
※正常値からはずれていても、関節リウマチと断定するものではありません。関節リウマチは、問診やさまざまな検査を総合的に判断して診断を行います。
血清たんぱく
血清中のたんぱく質は、「アルブミン」「グロブリン」に分けられます。正常な時、血清中のたんぱく質の半分以上はアルブミンが占めます。
しかし、関節リウマチが進行すると、アルブミンの量は変わらないものの、グロブリンが増えるため、比率が逆転します。つまり血清たんぱく質のアルブミンとグロブリンの割合を調べることで、関節リウマチがあるかどうかや、進行度をはかることができます。
AST、ALT
ASTとALTは肝臓の中にある酵素で、健康な時は血液中にはわずかしか存在しません。肝機能が落ちたり、肝臓で炎症が起きると増加します。
関節リウマチの治療薬の中には、肝機能障害の副作用を起こすものがあるため、ASTとALTの値は定期的にチェックする必要があります。
◇AST:10~40 IU
◇ALT:5~40 IU
血清クレアチニン
腎機能をみるための検査です。
クレアチニンとは老廃物の1つで、尿に吸収されて腎臓から体外に捨てられます。腎機能が低下すると腎臓のフィルターの働きが落ちてしまい、クレアチニンを捨てる量が減り、血液中の値が高くなります。
薬の副作用で腎機能が低下することがあるため、定期的なチェックが必要です。
◇女性:0.6~0.9㎎/dl
◇男性:0.8~1.2㎎/dl
定期的な血液検査が、安心・安全な治療につながる
このように生化学検査を行うことで、関節リウマチの進行度をはかったり、肝臓や腎臓に副作用が出ていないか、などを確認しているんですね。安心・安全な治療を行うために定期的なチェックが大切です。